sumika「祝祭」の短編小説

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sumika「祝祭」の短編小説

sumikaの新曲「祝祭」について歌詞をもとに短編小説を書きました。

この曲は、2021年3月3日の3rdフルアルバムsumika『AMUSIC』の収録曲の一つです。
「inゼリー」の新TVCMに起用されており、発売前からすでに多くの人気を博しています。

理由として、目標に向かって精一杯走る人の支えになることが挙げられます。

今回は、このsumika「祝祭」をテーマに、夢へ向かって走る一人の女子高生を主人公とした短編小説を書きました。

CMでも、受験に向かって必死に勉強する高校生が描かれています。
ぜひこの小説を読んで、「祝祭」の歌詞とリンクしていただけたら嬉しいです。

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虹を潜る

「私はあの大学に入って、理学療法士になるんだ」

そう決意したのは、高校2年の12月。あれから約1年以上経った。雨が降ったり、派手な嵐にあったり、たまに気まぐれに晴れてみたり、決して道は楽じゃなかったけど、少し虹が見えている。

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高校2年にもなって、今まで大きな病気をしてこなかった私が足を骨折したのは、自分にとって大きなイベントだった。
いつものように歩けないことやギブスのせいでお風呂に入るのが一苦労なこと、足を引っ張ってしまうのが申し訳なくて、ショッピング行こう!という友達の誘いを泣く泣く断ったこと、大好きな体育の授業がずっと見学だったこと、全部全部苦痛だった。
生理が重なったりすると最悪で、無駄にいらいらして周りの人に当たっちゃうこともあった。

でも、そんな中でも心が穏やかになる時間があった。それは、週に数回の理学療法士さんとのリハビリだ。
他愛もない女子トークをしたり、少しずつ歩けるようになってきた私を褒めてくれたり、他にも楽しくて嬉しかったエピソードはたくさんあるんだけど、とにかく理学療法士さんが大好きだった。今も好きだけど(笑)
要は私のなりたい女、あこがれの女No.1って感じ。

特に、この理学療法士さんに憧れてる理由、全面信頼してる理由として、今の自分の筋骨格系の状態を医学的根拠をもとに、私にわかりやすく説明した上で、リハビリプランを組んでくれることだった。
おかげで、大変なリハビリもあったけど、「これをがんばれば、○○の筋肉が少しずつ伸びてくるようになるんだ」「この運動をすれば、この関節が少しずつ動くようになってくる!」など、積極的に取り組むことができた。

そして、私はだんだんと
「骨の仕組みってどうなっているんだろう」「どうやってリハビリのプランを立てているんだろう」「私も理学療法士さんみたいにたくさんの知識と技術を身につけたら、こうやって人に喜びを与えられる人になるかな」「理学療法士って楽しそう」
と思ってきた。

そんなことをリハ中に話したら、
「嬉しい~!いつか一緒に理学療法士として働こうよ!私ここでずっと待ってるからさ!患者さんがどんどん動けるようになるのを見るとすごいやりがい感じるよ」「また一緒に女子トークしようよ」
と笑顔で喜んでくれた。

-・-・-

あれから私は志望校を一度も変えていない。この大学の理学療法学科じゃなきゃ嫌だ。この大学に入って、憧れの先輩のいる大学病院に行くんだ。先輩と一緒に働いて、私もあんな素敵な理学療法士になる。

でもそんな決意をしたのは、すでに高2の12月だった。点数も偏差値も全然受かる範囲にない。
「理学療法士以外にも医療系の職種は色々あるよ?」「別の大学の理学療法学科のがいいんじゃない?」なんて先生や親から言われた。

傷ついたけど、落ち込んだけど、私は覚悟を決めて突き進んだ。いいねの通知じゃなくて、傷通知をオフにした感じ(笑)
鈍感だね、なんて思われるほどに、周りのからの妥協の提案をスルーした。

だって、「私はあの大学に行って理学療法士になるの!」なんて周りに宣言しちゃったし、結局実現できなかったらただの妄想じゃん、嘘じゃん、って。
そんなこと思われたくない。
絶対に半年後に絶対に正夢に変えてやるんだって毎日思いながら、必死で勉強した。

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あれから半年が経って、高3の6月、必死に勉強したおかげで少しずつ成績は上がっている。でもまだ合格圏内には達していない。

たまに「今回はよくできた!点数が上がった!」なんて嬉しい時もあるけど、次の模試では元通りなんてこともよくある。
晴れた!と思っても、またすぐに雨が降るような感覚。

案の定、周囲から志望校の変更を求められている中、苦手な数学に着手することとした。数学の問題集を毎日10問解き、毎日先生に提出し、間違えた部分やより効率よく解ける方法を解説してももらうこととした。
負けず嫌いな性格もあり、「この前も同じミスしてたから気をつけてね」なんて言われると、絶対同じミスはしないと緊張感とプライドが生まれ、がむしゃらに勉強した。半年間で、数学だけでノートは10冊にもなった。

以前は、周りの声や目先の成績に傷ついて、「私には無理かな、やっぱりやめようかな」なんて悩んでた時もあったけど、苦手な数学と毎日戦っている今、そんなこと考えてる場合じゃなかった。強い覚悟と決意を胸に、勝手に足が動き出していた。

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半年間、数学を怒涛のように勉強し続けて、年が明けた。受験が迫ってくる中、自分でも驚くほどに数学の点数が伸び始めた。
また、晴れのち雨の展開かなあなんて思ってたけど、そんなことはなくて、ずっと晴れが続いた。
「これまで一度も数学の点数で喜んだことはなくて、病んでばっかだったのに!」
「数学の嵐から抜けた!私にとっての派手な派手な大きな嵐が消えた!おかげで合格可能点にかなり近づいた!」
これまでの努力は悪足掻きじゃなかったんだって思ったら、歓喜極まりなかった。

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私は明日、これまでの本気だった日々を糧に受験に挑む。
数週間前に念願の志望校に願書を出すことができた。先生や親が了承するほどの偏差値まで上がり、自分自身もそれなりの自信を持つことができている。
正夢への一歩を踏み出せたことが本当に嬉しかった。願書すらも提出できなければ、すでに嘘や妄想で終わってしまうところだった。

明日が来るのが正直怖い。自信をなくしそうな時もある。でも、これを乗り越えて、晴れた空の明るい虹を潜るんだと覚悟し、最後まで後腐れなくなく進もうと決意した。

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いかがだったでしょうか。
「祝祭」の歌詞と重なって、ストーリーを楽しんでいただけたら嬉しいです。

sumika「祝祭」はどこで聴けるの?

2月3日から各サブスクリプションで配信されています。ぜひ聞いてみてください。


「祝祭」が収録されいてる3月3日発売の『AMUSIC』も先行予約開始中!
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出展:https://www.sumika-official.com/

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